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時代は「モノ消費」から「コト消費」へ…Z世代に広がる「イミ消費」「エモ消費」とは

マネーとライフ

このところ、『推し活』といったワードを耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか?

『推し活』とは、自分のお気に入りのアイドルや俳優、キャラクターなど、自分にとっての特定の‟イチオシ”のことを、さまざまな形で応援する活動のことです。

時代とともに、消費者の行動は変化していますが、『推し活』もそういった消費行動のひとつです。
今回は、「モノ消費」から「コト消費」「トキ消費」など、多様に変遷する消費行動について、見ていこうと思います。

変化する私たちの消費行動

私たちの社会は、人口の変化や社会の情報化などに伴い、消費者の消費行動も大きく変わってきています。1970年からの高度経済成長期を経て、今はモノも情報も溢れかえっている社会になりました。

そんな中、お金を使ってモノを所有することに価値を置く「モノ消費」から、消費者がお金を使う際に何を重視しているのか、その価値観にも変化が生まれています。

商品・サービスの購買自体ではなく、その先にある体験を重視する「コト消費」、その時にしか体験できないサービスを重視する「トキ消費」、社会貢献を重視する「イミ消費」、精神的な満足度を重視する「エモ消費」、‟ヒト”そのものをエンタメとして捉え、消費活動の対象とする「ヒト消費」など、消費行動も変遷しています。

各消費行動について、もう少し詳しく紹介していきますね。

◆「モノ消費」

経済産業省の公表している「平成27年度地域経済産業活性化対策調査報告書」によると、モノ消費とは、個別の製品やサービスの持つ機能的価値を消費すること」とされています。

1970年代の高度経済成長期以降の日本社会では、大量生産・大量消費の経済構造のもと、モノを所有することが重視されていました。

「冷蔵庫が欲しい」「有名店で食事がしたい」と思い、お金を消費し、対価としてモノやサービスを所有(消費)する行動が当てはまります。典型的な例を挙げると、希少性の高いブランドバックを所持したい、というような消費行動ですね。

◆「コト消費」

1980年代 後半からは、そのモノを所有したり、サービスを利用したりすることによって得られる経験を重視する「コト消費」と呼ばれる消費行動が見られるようになりました。

例えば、「インテリアの既製品を買わずに、材料を買ってDIYで作る」「初めての茶道体験教室に参加してみる」といったものです。

川上 徹也氏の著書『「コト消費」の嘘』によると、「コト消費」は7つに分類されるそうです。

  1. 純粋体験型
    《企業が提供する商品=体験の消費のこと。例:ホテルの宿泊、スキーや工芸体験といった体験自体を楽しむ》
  2. イベント型
    《デパートなどの商業施設で行うイベントでの消費のこと。例:有名人が登場するイベントを主目的として、商業施設にて、ついでにショッピングや飲食をする》
  3. アトラクション施設型
    《商業施設に併設したアトラクション施設での消費のこと。例:映画館や美術館に行くついでに、併設の商業施設でショッピングや飲食をする》
  4. 時間滞在型
    《商業施設に居心地の良い空間を作り、長期滞在してもらう消費のこと。例:ゆっくりと本を選ぶことができるカフェが併設した本屋で、ショッピングや飲食をする》
  5. コミュニティ型
    《コミュニティから情報収集して、購入する消費行動のこと。例:ダイバーが集まるコミュニティで情報を得て、ダイビングショップにて商品を購入する》
  6. ライフスタイル型
    《企業が消費者のライフスタイルに沿った商品を提案し、ファンになってもらい購買につなげる消費活動のこと。例:インテリアショップとアウトドアショップが共同でキャンプフェアを主催していて、そこで必要なアイテム一式を購入する》
  7. 買い物ワクワク型
    《商品のレイアウトや演出を工夫することで、モノを買うこと自体がワクワクするような、買いたい気持ちにさせる仕組みを作る消費のこと。例:「ヴィレッジヴァンガード」の店内を見ていたら、面白くて、気が付いたら予定にない商品を購入》

「コト消費」は、主にミレニアル世代(1980〜1990年半ば生まれ)に見られる消費行動といわれています。

◆「トキ消費」

2010年から顕著になってきた「トキ消費」は、2017年に博報堂生活総合研究所が提唱したワードです。「トキ消費」とは、その時・その場でしか味わえない盛り上がりを楽しむ消費のことです。

「再現性がなく、限定的」「参加すること自体に価値がある」「各参加者が参加した成果、貢献を実感できること」などが特徴です。

例えば、「ハロウィンの仮装をした人々が渋谷の街で集まる」「観客も歌って踊るライブやフェス」「寄付を募って企画商品やイベントを実行する『クラウドファンディング』」「好きなアイドルに投票して応援するキャンペーン」「オリンピックの会場で実際に観戦して、応援して盛り上がる」など、サービスの購入や体験に留まらず、ユーザーが主体的に参加し、「その時・その場でしか味わえない」体験をすることが特徴です。

◆「イミ消費」

リサイクル服2010年代前半から顕著になった「イミ消費」とは、モノやサービスの購入をするときに、「社会的、文化的に、どのような意味があるのか」を基準にする消費行動のことです。「環境保全」「地域貢献」「フェアネス(正義)」「歴史・文化伝承」「健康維持」などがキーワードになり、自分がどうありたいのか、自分にとってどういう意味があるのかを指標とした行動を指します。

例えば「震災復興に関わる商品を購入して、復興を応援したい」「廃棄衣類を使ったアパレルブランドで服を買う」といった行動は、その人にとっての「イミ消費」になります。

「イミ消費」
は、Z世代(1990年代後半〜2010年生まれ)に多く見られる行動といわれています。

◆「エモ消費」

2010年代後半から注目されるようになった「エモ消費」とは、コラムニストの荒川和久氏が提唱している概念です。この「エモ」とは「emotional(感情的)」に由来していて、若者言葉の「エモい」=感情が満たされた、心が揺さぶられた」という意味合いをもっています。

「エモ消費」では、商品の魅力や商品を購入すること自体が目的ではなく、自分にとっての精神的な満足度・商品を買ったことで得られる世界観を重視していることが特徴です。理論的に説明はできないが「なんかいい」、そういった感覚が重視されます。

自分のためにお金を使うことが多い若年層や独身者に多くみられ、「心が揺さぶられた」感情をほかの人たちと共有することによって、「その瞬間通じ合えたコミュニティ」を生み出し、精神的な満足感を得ることが特徴です。

「エモ消費」行動の具体例としては、「あえてスマホではなく、現像に手間のかかるフィルムカメラで写真を撮影する」「CDは購入しないが、音楽フェスには参加する」「スマホケースにステッカーや写真を貼ってオリジナリティを出す」「他人と被らない1点物の古着を探しに出かける」などです。

あえて手間や時間、お金がかかるもの、古くて不便なものなどを利用し、価値を再認識して満足感を得る、という行動です。

◆「ヒト消費」

推し活

2020年代前半以降に登場し、ここ最近注目されるようになっている概念が、好きな人(応援したい人)に関連する消費体験を重視する「ヒト消費」です。

ヒト(個人)のもつ魅力や背景をエンターテインメントとして捉え、消費していく活動です。この対象となるヒトのなかには、芸能人、アーティスト、YouTuber、スポーツ選手といった実在する人物だけでなく、アニメや漫画、ゲームに登場する架空のキャラクターも含まれます。

最近よく耳にする、好きな芸能人やキャラクターを応援する『推し活』は、「ヒト消費」のひとつといえるでしょう。『推し活』とは「自身が好きな芸能人や声優など、人を応援すること」です。

「ヒト消費」が拡大した背景には、2020年からの新型コロナウイルス感染拡大によるイベントの中止や在宅時間の増加があるともいわれています。

動画配信に投げ銭をしたり、推しのメンバーを応援するためにCDやグッズを複数枚購入したりといったアクションにより、「応援する対象の役に立っている」という自己満足感を高めることにつながるのです。

若者世代に広がる「イミ・エモ消費」

特に若者世代の間には、モノやサービスを購入・利用するに留まるのではなく、そのモノやサービスの背景にある社会的・文化的価値を重要視する「イミ消費」=「ソーシャルグッド」が広まっています。

そして、「消費活動を通じて、誰か、あるいは社会の役に立ちたい」、「共感を共有してつながりたい(エモ消費)」という意識は、今後も広まっていくと考えられます。

「モノ消費」から派生した消費行動

多様化する消費行動ですが、そもそも消費行動の基盤には「モノ消費」があることを忘れてはなりません。

「モノ消費」から、「コト消費」「トキ消費」「イミ消費」「エモ消費」「ヒト消費」と派生していきましたが、逆に「コト消費」からは「モノ消費」は生まれません。あくまでその他の消費行動は、「モノ消費」との関係で成り立っているため、互いの関係性やつながりを考えることが大切になります。

ISVの社会的な取り組み

このように、社会背景や経済状況の変遷とともに、消費者の行動様式はどんどん変化していっています。
2020年代のいま、単にモノやサービスを提供するだけでは、若い世代をはじめ多くの消費者たちの心をつかむことは難しくなっています。

「自社や自社サービスに、どのような背景があり、社会的な意義があるのか」、「消費者にとってどのような意味があり、感情をもってもらうのか」、そのようなことを考えていく必要があるでしょう。

環境負荷低減など、社会的意義のあるシェアオフィスを

会社ロゴ

オフィス空間のシェア事業、オフィス空間を構成する家具、設備機器、ICT等のレンタル事業、リデュース、リユース、リサイクル事業を運用している当社(ISV)では、「Reduce」「Reuse」「Recycle」の3Reを通じて、お客様のゼロ・エミッション対策の実現をサポートしています。

また、運用するシェアオフィスには、リユース家具を活用し、環境への負荷を低減。環境に優しいオフィス作りをしています。

2023年3月に本格オープンしたシェアオフィス「Core Place 新富」「トキの体験の共有」がコンセプト。オフィス空間で働く人のことを考えた空間づくりを行い、その場所で過ごす時間をより快適に、意義あるものにしたいと考えています。

さらに、同オフィス内の家具や什器、インテリアは8割がリユース品環境に配慮したオフィス作りに取り組んでいます。

SDGsロゴ

また当社では、世界的な取り組みであるSDGs(持続可能な開発目標)にも参画し、「つくる責任 つかう責任」の達成に取り組んでいるほか、アフリカゾウと森と人との共存をビジョンとする「特定非営利活動法人アフリカゾウの涙」の支援、学生アスリートの未来をShapeする「特定非営利活動法人 Shape the Dream」の支援、ホームレスの仕事をつくり自立を支援する「有限会社ビッグイシュー日本」の支援を行っています。

個人も企業も、社会の中に存在しています。より大きな視点では、他者との関係性や地球環境も無視して通ることはできません。

社会的な意義を果たす企業でありたい。
そのような思いを忘れずに、今後とも企業活動を進めていきます。