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「循環型社会」とは?3Rなどの取り組み、私たちにできること

循環型社会

SDGs(持続可能な開発目標)」が国際社会で採択され、近年、環境問題や社会問題への関心が高まりを見せています。ものを大量生産し、大量消費する時代は終わりを告げました。

限りある地球資源を大切に使い、使用したものを再利用しようと、消費者の意識も変化しています。

このような意識の変化や高まりの中、キーワードとなるのが「循環型社会」「サーキュラーエコノミー(Circular Economy、循環経済)」です。

今回のブログでは、「循環型社会」や「サーキュラーエコノミー」は何なのか、その概要や事例、企業の取り組みなどについてお話していこうと思います。

「循環型社会」って何?

「循環型社会」の言葉の意味

地球上に暮らす私たちはこれまで、石油や石炭など地球の限りある資源を大量に掘り出して製品の原料にし、使用し終わったら廃棄物(ゴミ)として捨ててきました。

大量生産、大量消費の社会構造は、石油などを燃やす際に発生する大量の二酸化炭素を発生させ、地球温暖化の原因をつくったり、大量の廃棄物をどう処理するのかという問題の原因を生み出してしまいました。

地球にある資源には限りがあります。さまざまな環境問題に対処するためにも、新たな生産構造を考える必要が出てきているのです。

そこで注目されているのが「循環型社会」です。

「循環型社会」とは、資源を再利用・再生することでぐるぐると循環させる仕組みを基盤とし、環境への負荷が低減された社会のことを指します。

キーワードは‟3R”

「3R」とは、

Reduce(リデュース)……ゴミを減らす
Reuse(リユース)……繰り返し使用する
Recycle(リサイクル)……資源を再利用する

上記の頭文字「R」を取った総称が「3R」です。「循環型社会」を考える上で、欠かせないキーワードといえるでしょう。

2つの循環の調和が大切

リサイクル

「循環型社会」では、「自然の循環」「経済の循環」との2つの調和が取れていることが重要になります。


・「自然の循環」

「自然の循環」とは、大気や水、土壌、生態系などを含む自然界の健全なサイクルのこと。

植物の光合成によって、二酸化炭素を取り入れて酸素を排出し、その酸素を動物が吸い、二酸化炭素を排出するという「大気の循環」、川や海の水が蒸発して雲になり、山に雨を降らせ、川となり、土地を潤す「水の循環」、草食の生物を肉食の生物が捕食し、死んだ植物や生物のからだが大地の養分となり植物を生長させる「生態系の循環」、このような自然界のサイクルが健全に行われることで、地球の環境が安定します。


・「経済の循環」

「経済の循環」とは、資源採掘や原料調達、生産、流通、消費、廃棄という一連の流れのことです。例えば‟環境負荷の少ない資源採掘や原料調達”といったように、それぞれの段階で、環境負荷を低減する取り組みが必要となってきます。

廃棄物等の発生を減らす……ゴミを出さない=リデュース
資源の循環的な利用……廃棄物を資源として再利用する=リユース・リサイクル
循環資源の適正な処分……再利用できない廃棄物を適正に処理する

上記を考慮した、経済の循環システムが求められます。

今、世界全体で取り組みが進められているSDGs(持続可能な開発目標)の達成のためにも、環境問題の改善を図ろうという社会の仕組みである「循環型社会」は、大きな意味をもっているといえるでしょう。

▼関連記事:【SDGs】とは? 17の目標や、「3R」など企業の取り組みを知ろう


日本の法律「循環型社会形成推進基本法」とは

ゴミ廃棄場

日本では「循環型社会形成推進基本法」という法律が、2000(平成12)年に制定されています。

これまで「廃掃法の改正」「家電リサイクル法」「容器包装リサイクル法の拡充・整備」により廃棄物やリサイクル対策が取られてきたものの、ゴミ処理場所の不足や不法投棄の問題が発生していました。‟ゴミ処理と資源化の2つの軸を総合的に捉える取り組み”が必要となったため、同法が制定されたのです。

同法では、

「まず製品等が廃棄物等となることを抑制(廃棄物等の発生抑制)」→「排出された廃棄物等についてはできるだけ資源として適正に利用(循環資源の循環的な利用)」→「どうしても利用できないものは適正に処分(適正な処分)

するように規定しています。

このように「天然資源の消費が抑制され、環境への負荷ができる限り低減された社会」が「循環型社会」なのです。

ここでは、「国民・事業者・行政」を「排出責任者」と明示し、それぞれの責務と役割を示していることもポイントでしょう。社会全体で取り組むことが求められているのです。

また、同法に基づき、「廃掃法」と「資源有効利用促進法」が制定・改正されています。これにより、資源の特性に応じた6つの規制(容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、食品リサイクル法、建設リサイクル法、自動車リサイクル法、小型家電リサイクル法)が始まりました。

環境省と経団連による「循環経済パートナーシップ」

2021年に、小泉環境大臣(当時)ら環境省と、日本経済団体連合会(経団連)は意見交換を行い、循環経済の一層の取組加速化に向けて官民連携による「循環経済パートナーシップ(J4CE)」が立ち上げられました。

同日、「世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)」と共催で開催した「循環経済ラウンドテーブル会合」の場で、官民連携で循環経済を推進していくことを世界に向けて公表しています。

循環経済パートナーシップ公式サイトによると、「循環経済パートナーシップ(J4CE)は、循環経済への流れが世界的に加速化する中で、国内の企業を含めた幅広い関係者の循環経済への更なる理解醸成と取組の促進を目指して、官民連携を強化することを目的としています。」と規定されています。

具体的な活動としては、日本の先進的な循環経済に関する取組事例の収集と国内外への発信・共有するほか、サイトやイベントを通じて事例などの情報を発信を行っています。

同パートナーシップの趣旨に賛同する企業・団体は、同パートナーシップに参画することが可能です。申し込みも随時受付中のようです。

▼「循環経済パートナーシップ」の立ち上げに関する合意.pdf
https://www.env.go.jp/content/900535424.pdf

▼循環経済パートナーシップ
https://j4ce.env.go.jp/

世界での取り組み

日本では「循環型社会形成推進基本法」などが制定され、国として進められてきましたが、世界ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。

・アジア太平洋3R推進フォーラム

平成21年に「アジア3R推進フォーラム」が設立されました。アジアにおいて、3Rの推進に向け、環境と経済の両立を図り、「循環型社会」を実現することを目指す取り組みです。

ここでいう‟3R”とは先ほど説明したように、「廃棄物の発生抑制(リデュース:Reduce)、再使用(リユース:Reuse)、再生利用(リサイクル:Recycle)」のことを指します。

同フォーラムのもと、3Rに関するハイレベルの政策対話の促進、各国における3Rプロジェクト実施への支援の促進、3R推進に役立つ情報の共有、関係者のネットワーク化等が進められています。

平成25年3月には、ベトナム政府と協力して第4回会合が開催。今後10年間におけるアジア太平洋地域における3R推進のための目標を定め、各目標の達成状況をモニターするための指標をまとめた「ハノイ3R宣言」が採択されました。

▼アジア太平洋3R推進フォーラム公式サイト
https://www.env.go.jp/recycle/3r/

・EUの「使い捨てプラスチック流通禁止指令」

EU(欧州連合)は、2019年に使い捨てプラスチック製品の流通を禁止する法案を採択し、「特定のプラスチック製品が環境に与える影響を低減することを意図した使い捨てプラスチック指令」が制定されました。

ガイドラインでは流通が禁止される製品が例示されています。

《流通が禁止される製品》

・酸化型分解性プラスチックを使用した製品
生分解性プラスチック製のものを含む、特定の使い捨てプラスチック製品。
例えば:再利用可能と記載されていても、プラスチックまたは生分解性プラスチックで作られ た軸がある綿棒
・カトラリー(フォーク、ナイフ、スプーン、箸など)
・皿
・ストロー
・飲料のかくはん棒
・消費者向けの風船用の棒
・発泡スチロール製食品容器
・発泡スチロール製の飲料容器(キャップ、蓋を含む)
・発泡スチロール製の飲料用コップ(キャップ、蓋を含む)

EUでは、日本よりさらに厳しい基準や規定が定められているのです。

▼環境省「EUの政策概要」
https://www.env.go.jp/water/var/www/html/_iq_import/water/marine_litter/Policy_Brief_EU.pdf

「循環型社会の実現」のために

「3R」から「5R」へ

先ほど、「循環型社会」の実現を目指す上でのキーワードとなるのが「3R」と解説しましたが、最近では「3R」にさらに2つの「R」である「Refuse(リフューズ)、Repair(リペア)」を加えた「5R」が提唱されるようになってきました。

世界界的に取り組みが進んでいる「SDGs」の‟持続可能な社会”を実現させるために、重要となる概念です。

《「5R」とは》

Reduce(リデュース)……ゴミが発生しないように生産・販売し、廃棄物出さないように抑制する
Reuse(リユース)……使えるものは繰り返し利用し、廃棄物にしない
Recycle(リサイクル)……廃棄物を再生活用する
Refuse(リフューズ)……ゴミになるものを買わない・もらわない
Repair(リペア)……壊れたら修理して長く使用する

不要なものは買わない、買ったものは使える限り使う、不要品はリサイクルに出すなど、私たちが日常生活で取り組める小さなアクションの積み重ねが、世界や地球の環境への負荷を減らすことにつながってきます。
普段から「5R」を意識する、このことが大切なのではないでしょうか。

もう1つのキーワード、「サーキュラーエコノミー(CE)」

・「サーキュラーエコノミー」とは?

「サーキュラーエコノミー(循環経済)」は、持続可能な社会の実現に向けて、2015年12月にEUで提唱されました。

環境省によると「『サーキュラーエコノミー)』とは、従来の3Rの取組に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動であり、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指すもの」とされています。

「3R」の概念に留まらず、これまで経済活動のなかで廃棄されていた製品や原材料などを「資源」と考え、リサイクル・再利用などで更に活用を推し進め、資源を循環させる、新しい経済システムです。

一方、「資源の抽出→製造→消費→廃棄」という一方向のみの流れで、最終的に大量の廃棄物を生み出してきた、従来の経済システムのことを「リニアエコノミー(Linear Economy、直線型経済)」といいます。
この従来型の経済システムに対する言い方として、循環型の経済「サーキュラーエコノミー(循環経済)」と呼ばれています。

▼環境省「第2節 循環経済への移行」
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r03/html/hj21010202.html

・国際的な団体が定義している3原則

英国を拠点とし、国際的にサーキュラーエコノミーを推進している団体「エレン・マッカーサー財団」では、「サーキュラーエコノミー」の3原則を定義しています。

1.廃棄物と汚染を生み出さないデザイン(設計)を行う
2.製品・素材を(最も価値の高い状態で)循環させる
3.自然システムを再生する

多くの企業や報道機関がこの原則を参照しています。

・「循環型社会」と「サーキュラーエコノミー」は何が違うの?

広がる3Rの取り組み

これまで経済活動のなかで廃棄されていた製品や原材料などを「資源」として、リサイクル・再利用し、価値が高い状態で資源を循環させる「サーキュラーエコノミー」。

ここで重要視されているのは、最初のデザインや設計段階で、資源をできるだけ廃棄せず、長く使用できるようにすることです。

一方「循環型社会」は、「3R」の概念などを基盤に、資源を再利用・再生することでぐるぐると循環させる仕組みを基盤とし、環境への負荷が低減された社会のシステムです。

製品のライフサイクルにおける処分後の廃棄物をどのようにして再利用するか、出た廃棄物をどうしたら無駄にせずに、再び循環させられるか、その方法に焦点が置かれています。

つまり、「サーキュラーエコノミー」が‟経済システム”であることに対し、「循環型社会」は‟廃棄物に対するソリューション”であることが大きな違い。

さらに、‟できるだけ廃棄物を出さない商品設計”に注力する「サーキュラーエコノミー」が‟入り口戦略”なのに対して、‟出た廃棄物をどう有効活用するか”に焦点を置く「循環型社会」は‟出口戦略”である、という捉え方もできるでしょう。

基本的には、日本発の「循環型社会」の場合、‟廃棄物処理の費用は使用者・消費者が負担する”ことになり、EU発の「サーキュラーエコノミー」はより経済面・産業面にかかわる思想であるため、‟資源循環の費用を生産者・供給側が負担する”という点も、大きな違いです。

「サーキュラー・エコノミー」では、環境への負荷を減らすだけでなく、経済成長も同時に図ることが、大きな意義となるのです。

ISVの取り組み

「レンタルオフィス」「オフィス家具や什器のレンタル」「オフィス家具や什器のリサイクル」などの事業を運用しているISV。

当社では、「地球環境保全のために、環境負荷の低減と資源の有効活用をテーマに、社会に貢献できるビジネスを開発し実現します。」という企業理念を掲げています。

「ゼロ・エミッション」の趣旨に賛同

当社では、国連大学が1994年に提唱した「ゼロ・エミッション=廃棄物のエミッション(排出)をゼロにする」に賛同しています。

これは「そもそも廃棄物を出さない製造技術を開発する計画、事業を行う」「ある企業・産業で排出される廃棄物を、別の企業・産業の原料に使う」などして、トータルで廃棄物をゼロにしようという取り組みです。

当社でも、「ゼロ・エミッション」に対応するため、下記のような活動を行っています。

●啓蒙活動
什器の「所有」と「利用」について、調達の目的と手段の相関関係を明確化。
●中古買取
お客様所有の不要となった什器の買取行為。
●中古販売
弊社所有の不要となった什器の販売行為。

3つの「R」で廃棄物ゼロに挑戦

ISVの3R

さらに、当社では「Reduce」「Reuse」「Recycle」の‟3R”を中心に、「Refuse」「Repair」を加えた‟5R”をベースとして、オフィス・エコロジー・マネジメント・システムで循環型社会を目指しています。

《中心となる3つの「R」》

「Reduce(リデュース)」
現役のレンタル什器のリペアを、環境負荷と調達費用低減をテーマに実施し、再配置を実行。
「計画」→「リペア」→「点検・再使用」という「Reduce」の流れです。
「Reuse(リユース)」
程度のよい中古什器や災害用備蓄品の販売及び寄贈。
「計画」→「中古販売店」→「NGO / NPO」→「発展途上国」」という「Reuse」の流れです。
「Recycle(リサイクル)」
「再生素材率100%」をテーマに、退役のレンタル什器の環境に配慮した処分及び再生方法を推進。
「廃棄什器」→「適正処分」→「素材選定」→「設計製造」という「Recycle」の流れです。

「SDGs」が提唱する持続可能な社会、「循環型社会」「サーキュラーエコノミー」の実現に向けて、ますます重要になるリサイクルやリユースなどの概念。

限りある地球資源を大切に、かつ最大限有効活用しながら、発展し続ける社会を達成するためにも、地球に住む一人ひとり、企業一社一社の意識を変える、今がその時なのかもしれません。

▼関連記事:「ISO 14001」とは?企業と環境の関係性を考えよう!イトーキグループの取り組みを紹介


 

当社のリサイクル・リユース事業に関心がある方は、ぜひお気軽にお問合せください!

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